いわいわねワイワイ(^^)/

フラメンコギタリストなのに最近はピアノばかり弾いてます(笑)

第249回 ラファエル・リケーニ2

彼の全盛期と言われる時代は、1990年代前半のようです。セビージャ出身の彼はマドリードで仕事をしてましたが、あたしが初めてスペインに行った2000年頃に一度だけアモール・デ・ディオスというスタジオで、彼を見かけたことがあります。その頃も多事多難だったようですが…。

 

詳しい事情は全くわかりませんが、元々繊細な性格で、うつ病の傾向があったようです。父親の自殺でうつ病が進行し、うつ病の薬とアルコールと薬物の組み合わせは最悪で、次第に演奏活動が困難になっていきました。

 

彼自身のリサイタルの途中でギターを弾くのをやめてしまったり、バルで飲んだ後に自分の家に帰ることすらできなくなったこともあったようです。それでも、復活の兆しを見せていた頃に問題が社会的に表面化し、2年間の刑務所暮らしを余儀なくされたようです。

 

数年前に復帰のライブを行って、それなりに好評を博したようです。ただ、あたしの見るところ、この好評にはいろんな意味があるように思います。

 

ヘレスの歌い手などにもよくあることですが、薬物に依存して活動が満足にできなくなった人を応援する気持ちが、スペイン人って強いんです。かつての光を覚えている人たち(あたしもそのうちの1人ですが)は、見捨てる気持ちになれないんです。きっといつか、光を取り戻してくれるって信じたいんです。

 

年齢的には、かつての栄光を取り戻すのは難しいかもしれません。けれど、今の彼の演奏には、かつては表面に出てこなかった深みを感じます。それは、彼が味わってきた人生そのものなのかもしれません。

 

若い人たちが、今の彼の演奏を聞いても…その価値はわからないんじゃないかなぁって思います。正直言って、今の彼の演奏からあたしが得られるものは、全て精神的なものに限られていて、フラメンコ的音楽的な要素では、あまり刺激を受けられないです。

 

けど、あたしだって、それなりに多事多難でした(笑)。誰かが困難を乗り越えていく姿には、熱いものを感じるんです。