いわいわねワイワイ(^^)/

フラメンコギタリストなのに最近はピアノばかり弾いてます(笑)

第343回 サビーカス6 本物志向と苦悩

さて、中断していたサビーカス…というか、自伝(笑)に戻りますね(^^)/

本物へのこだわり

ようやくプロへの道が開けましたが、次第に…いろいろと疑問を感じることが多くなっていきました。

”共演する踊り手や歌い手と合っている”と実感できても、自分のギターがつまらなく感じるようになりました。少しでもレベルアップしたくて、スペイン人の行っているライブを何度も見ましたが、見る度に「何かが違う!」と感じることが多くなりました。

スペイン人はレベルが高いと言っても、簡単なことをしている場面もたくさんあります。簡単なことなら、日本人がやってもスペイン人がやっても大差ないはずですよね?それなのに、”似て非なるもの”と感じるようになったのです。

これを解決してこそ、堂々とプロを名乗れるのではないかと考えるようになりました。その答えをくれたのが、お師匠様・原田和彦氏です。

 

初回の全否定

お師匠様の初回レッスンを受けた時のことは一生忘れません。

 

お師匠様「ちょっと人差し指で、ジャンって鳴らしてみて」
いわね 「(指で)ジャン!」
お師匠様「ダメ!」

ダメですかぁ…orz
これがダメなら、全部ダメじゃん(笑)

 

お師匠さまには、ギターの奏法など技術的な問題、音色に対するこだわり、プロとしての心構えなど…様々なことを教えていただきました。

そして、お師匠様はリズムの鬼です(笑)。”スペイン人と同じリズムにならなきゃ意味が無い!”という理念の下、徹底的に指導を受けることになりました。

 

成長と苦悩

お師匠様から受けた指導の甲斐があり、少しずつスペイン人らしいリズムを吸収していきましたが、大きな問題が起こってしまいました。今まで一緒に共演していた人たちと、リズムが合わなくなってしまったのです。

周囲のリズムと感覚が違うので、「そうじゃない!こうでしょ!」と強くギターを弾いても、どのようにリズムが違うのか、全くわかってもらえませんでした。

みんなに合わせてギターを弾くことはできますが、それをすることで、せっかく苦労して覚えたリズムを失っていく恐怖がありました。せっかく本物を目指して勉強したものを失うのは、どうしても嫌でした。

ライブ出演を続けることは、聞いてはいけないリズムとの格闘であり、情緒不安定な時期が長く続いたと思います(ぶっちゃけ、無駄に短気w)。自分で自分の評判を落としていったのだろう…と思います。仕事が少しずつ減っていきました。

 

周囲との軋轢

自分のこだわりが高く評価されて、それが仕事の量に反映されてくれたら幸せでしたが、あたしの場合は違いました。

せっかくあたしを仕事に呼んでくれた人たちに対して、リズムの悪さを指摘したことも何度もありました。「他のギタリストなら文句を言わない」と返されたこともありました。その度に、より一層意固地になりました。

「そりゃ、その人がプロのレベルじゃないか、プロとしての責任を感じていないからでしょ?」
「問題のあるところを良くすれば、ステージが良くなってお客さんの満足度も上がるのに、なんでそれをやらないんですか?」
って、取り付く島も無し(笑)。

あたしにとって、お客さんとは、客席で見てお金を払ってくれる人です。仕事に呼んでくれた人のご機嫌をとるなんて、踊り手さんや歌い手さんを客扱いしてるのと同じではないですか?

問題を抱えている踊り手や歌い手の機嫌をとって満足してもらっても、気持ち良くお金をいただけません。

 

ようやく大人に(笑)

仕事に対する厳しさ…これはやはり、お師匠様譲りなのだろうと思います。お師匠様は、リズムのことばかり考えて、周囲との輪をあまり考えないお方です(笑)。やはり、多くの人から、”使いにくい人”として敬遠されてしまうでしょう。

しかし、”周囲との輪を大切に考えていても、リズムの悪いステージ”は嫌です。お客さんだって、こんなステージは見たくないだろうし、お金も払いたくないだろうと思います。

多くの葛藤があり、経験や年齢を重ねて、次第に…周囲との輪を大切にしつつも、リズムの良いステージを行いたいと思えるようになっていきました。

昔から持っていたこだわりは、あたしの中にしっかりと根付いています。このこだわりに興味のありそうな人には積極的にアドバイスを行い、興味の無さそうな人には表面的に接していこうと思います。

ヤケになっているわけではありませんよ(笑)?つまらないことに時間を割きたくないのです。日本人の抱えているリズム上のハンデキャップをいかに解消するか、この研究と指導に時間や労力を使いたいのです。

今後の活動では、どんな場合においても、理想と現実の中間点を上手に見付けながらやっていきたいです。こんな考え方をするようになるまで、とても長い年月を必要としました。

そんな時に、プリメラギター社から、今回の話が舞い込んだのです。